2013年3月26日火曜日
地球の裏側から来た友達
彼に初めて出会ったのは、6年前です。まだ日本に来て半年にも関わらず、すでに会話には困らないほどの日本語をマスターしていたのは驚きました。聞けば中南米ボリビアからの国費留学生で、なるほど世界の優秀な人間とはこういうものかと妙に納得したものでした。彼の魅力は頭脳明晰なことだけでなく、気持ちの良い人間性にあります。外国人にありがちないい加減な陽気さとは違い、明るいながらも丁寧に人を気遣うことができ、これまでに出会ったことのないような人物でした。祖国で歯科医のライセンスを持っていても日本では診療には従事できないため、彼は専ら基礎研究に取り組んでおり、多忙な毎日を送っているようでした。私が大学を離れてからは中々会うことが少なくなっていましたが、彼の妻の来日をきっかけに小さなパーティを開きました。
参加者銘々が食べ物を持ち寄るスタイルでしたが、我々の狙いはやはり本場の料理。ボリビア料理は以前いただいたことがあったので、気を利かせたのか今回は奥さんがスペイン料理を作ってきてくれました。現在スペインで小児歯科医をやっている彼女のパエリヤ、トルティージャは絶品の一言。日本語、英語、スペイン語が飛び交う小さい会は、時が過ぎるごとに盛り上がりを増していてきました。
ディナーの他にもう一つお願いしていたのが、ボリビアに関するプレゼンテーションでした。いただきもののプロジェクターを用いての、ミニ『まだ名のない会』の開催です。
ボリビアについて知っていることといえば、ゴルゴ13で学んだチチカカ湖ぐらいの私ですから、彼の話は非常に興味深いものでした。建国の伝説から、スペインによる植民地時代、そして独立といった歴史の中で多くの戦争、内戦があり、現在もそれほど経済的には豊かな国ではないようです。一方で、西欧の街並、遺跡、古都など様々な建築物の写真からは何ともいえない雰囲気が感じられました。
中段右は彼の実家で、まさに白亜の豪邸でした。お父さんも歯科医だそうで、南米でも歯科医の地位は高いようですね。
プレゼンの中でとりわけ目をひいたのは、ボリビアの自然です。ミネラルの影響による赤の湖、緑の湖はとてもユニークでしたし、有名なウユニ塩湖は何時か行ってみたいものだと感じるのに十分な美しさでした。
じきに羽休みの日本からまた飛び立っていってしまう彼ですが、互いにBest Friend Foreverと誓い合い、閉会となりました。次は私が地球の裏側へ行きたいものです。
2013年1月22日火曜日
コーヒーはお好きでしょうか
この理科の実験で使うビーカーのような代物、実はコーヒードリッパーです。"CHEMEX"という名前で、半世紀以上前に誕生したそうです。コーヒーメーカーをネットで探していて見つけたのですが、そのシンプルなデザイン性に惹かれ、即購入しました。決済後に、ハンドブロウ(手吹き)の物もあることを知り、どうせならそっちにすればよかった…と少し悔やんでおりますが、今後の半世紀中には割ってしまうこともあるでしょうから、そっちは次の機会にしたいと考えています。その後もよくよく調べてみると、ニューヨーク近代美術館MoMAのパーマネントコレクションでもあるようです。
実際の機能はというと非常に使いやすいですし、肝心のコーヒーの味も美味しいので、とても気に入っています。玉に瑕なのは、専用の蓋や清掃器具が別売りだったところ…そして、消耗品であるペーパーフィルターまで専用のものがあり、比較的高価なのです。安価な代用品もあるようですが、『純正の良さ』みたいなものもあると感じるタイプの人間なので、100枚を使いきる頃に迷うことになるでしょう。まぁ、高いといってもそんなケチケチするほどの値段でもないんですけどね。
実際の機能はというと非常に使いやすいですし、肝心のコーヒーの味も美味しいので、とても気に入っています。玉に瑕なのは、専用の蓋や清掃器具が別売りだったところ…そして、消耗品であるペーパーフィルターまで専用のものがあり、比較的高価なのです。安価な代用品もあるようですが、『純正の良さ』みたいなものもあると感じるタイプの人間なので、100枚を使いきる頃に迷うことになるでしょう。まぁ、高いといってもそんなケチケチするほどの値段でもないんですけどね。
2013年1月10日木曜日
(全国)第一(位)大臼歯
真鶴セミナーの企画がきっかけでお付き合いをさせていただくことになったラボがあります。テクニシャンの方は、大変丁寧な技工をしてくださることに加えて、素晴らしい技術、豊富な知識、そして熱心な思いをお持ちなので、非常に刺激を受けています。
このワックスアップは、そのラボに勤務されている新卒テクニシャンのH氏の作品です。聞くところによると、この作品で全国コンテストを優勝したということでした。天賦の才をもつ大人しそうな彼とは、今後付き合いを重ねて、是非我々の勉強会でご講演をお願いしたいところです。
アートが好きな私は、このように一つの作品を作り出せるテクニシャンという人々を尊敬しますし、補綴物という枠組みはあれど、その中で自分を表現できるというのは素晴らしいことだと思います。スライドぐらいは、気合いを入れてアーティスティックに作りたいものです。
2012年12月30日日曜日
夢の通い路
ブログの不更新を散々怒られながらもできなかったのは、聖地巡礼の準備があったからに他なりません。(いつもこういう言い訳をしているような気がしますが。)私の場合、仕事が遅くいつもギリギリまで準備をしているせいで、本番直前はいつも寝不足になります。ようやく眠りについても、すぐ起きなければならないので夢をみる間もありませんでした。そんなフラフラの状態でしたが、クリスマス直前の12月22~23日、十二人の使徒の一人として、歯科界のジーザスの下に集いました。
日本の反対側へ向かうこと4時間余。真鶴はあいにくの土砂降りでしたが、二度目となる町並みに懐かしさを覚えながらも、徐々に興奮と緊張で心がざわついていきました。というのも、今回は自分の発表だけではなく、一つの企画を担当させていただくということになっていたからです。到着後は、昼食をとってからプレゼンテーションというスケジュールでした。食事班の先生方が用意してくださったカレーライスも、企画のことで頭がいっぱいで、わずか2回のおかわりしかできないという体たらくでした。そうこうしている内に本番です。真鶴メンバーの中で最も実力も経験もない私ですから、それを少しでも補うためには地道な作業しかないと考え臨んだつもりでしたが、アプローチとしてはいまひとつだったように思います。慣れない座長という仕事もろくにこなせず、反省ばかりが残る企画となりました。関係者のみなさま方には、この場を借りてお詫び申し上げます。
真鶴セミナーでは、食事も大きな醍醐味の一つです。各地からおいしい食材が集まり、それを調理して、みんなでいただくというのは何にも代え難い楽しさです。一日目の夜のメインは鱈鍋。それひけをとらない白子や鱈子、ローストビーフなど至高のメニューがテーブルを埋め尽くす様は圧巻です。お酒がすすむのは当然で、それぞれの近況話や、新入りの自己紹介を肴に盛り上がりました。トピックだったのは、福島いわきの震災後のお話で、人のにぎわいが消えてしまったという言葉には現状を強く実感させられ、復興のみちのりの険しさを認識しました。その後も、深夜三時近くまで宴は続きましたが、とうとうギブアップ。あっという間に眠りにおちて、この日も夢をみることもなく朝まで熟睡でした。
7時起床の翌朝も、豪華な朝食からスタートでした。前日あれだけ食べたにも関わらず、最年少の食欲に負けていられないと三膳のご飯を平らげて、二日目の企画が始まりました。テーマは”前歯部の歯冠修復”で、修復材料の選択理由や適合、色調、支台築造からセメントに至るまでディスカッションが行われ、各先生方の取り組みが大変勉強になりました。私は、失活歯(メタルコア)にe.maxを用いたケースを発表させていただきました。厳しい日程の中、テクニシャンの方に無理をいって製作してもらい何とか仕上げたプレゼンでしたが、もっと深く掘り下げて話をするには、これを始まりとしてケースを増やし、厳しい目で突き詰めていく必要性を感じました。そうして二日間に渡るプレゼンテーションが終わり、カーテンを開けると青空が広がっていました。晴れ晴れとした気持ちで撮った集合写真は、皆それまでの疲労が吹き飛んだような気持ちの良い笑顔でした。
帰途、真鶴駅で後輩が言った「あっという間で、夢みたいだった」との言葉に、嗚呼、そうか、夢はこっちだったかと思いながら、雪が降っているらしい新潟へ帰郷となりました。神様(金子先生)、夢のような二日間をどうもありがとうございました。
2012年10月17日水曜日
素人には難しいカメラの世界 3 ~ETTLの謎~
今回はCanon純正リングストロボの話題についてです。実験の相方が使っていたCanon EOS kiss x3には、Canon MACRO RING LITE MR-14EXというリングストロボが装着されていました。このストロボには、ETTLモードというものとマニュアルモードというものがあるのですが、実験当初はその存在に気づかず、辻褄の合わない結果に翻弄されていました。このETTLモードというのは不思議な働きを持っており、Nikonのマニュアル撮影一辺倒で来た私にとっては、信じ難く怪しいと思いながらも、その機能に驚きを隠せませんでした。
ETTLというのは、Evaluative-Through The Lensの略で、『シャッターを切った瞬間に適切な光量を計算する為にストロボを少し発光させ、周囲の光の量も合わせて最適な発光量を決定するシステム』だそうです。よくわかりませんが、とにかくどんな条件で撮っても明るくなってしまうのです。
通常、絞りを絞れば、被写界深度は深くなりピントは全体に合いやすくなりますが、暗くなってしまいます。逆に、絞りを開けば明るくなりますが、ボケがちな画像になってしまいます。当然、ピントが合っている方が良いわけですが暗くても困るということで、Nikon D7000ではある程度の所で設定を決めていました(F22)。しかし、このETTLモードで撮ると、どんなに絞りを絞っても画像が暗くなるということはないのです。最初は、絞りの設定がキャンセルされているのではないかと疑いましたが、被写界深度には影響を与えているので、そんなこともないようです。
ISOをいじってみても、ETTLは常に明るさを一定に保とうとしてくれます。ISOを上げるとノイズが出てくるので、最小にしておくことが可能なら、それに越したことはないのではないでしょうか。
シャッタースピードも明るさに影響を与えますが、手ぶれや連射のことを考えるとシャッタースピードは速い方がいいでしょう。ETTLモードにすると、シャッタースピードは1/200が上限になるようです。あまり速すぎると、適量な光量の計算が間に合わないのかもしれません。
結果として、ETTLモードで撮影すれば、シャッタースピードを速くする(1/200)ことで手ぶれを防止し、絞りを限界まで絞る(F32)ことでピントを奥まで合わし、ISOを最小にする(ISO100)ことでノイズも最小限にするという設定で、かつ適切な明るさの画像が得られるということになりました。マニュアル撮影が染み付いている身としては、にわかに信じられず、どこかに落とし穴があるのではと疑っていますが、得られた画像は正直に綺麗でした。
ETTLというのは、Evaluative-Through The Lensの略で、『シャッターを切った瞬間に適切な光量を計算する為にストロボを少し発光させ、周囲の光の量も合わせて最適な発光量を決定するシステム』だそうです。よくわかりませんが、とにかくどんな条件で撮っても明るくなってしまうのです。
通常、絞りを絞れば、被写界深度は深くなりピントは全体に合いやすくなりますが、暗くなってしまいます。逆に、絞りを開けば明るくなりますが、ボケがちな画像になってしまいます。当然、ピントが合っている方が良いわけですが暗くても困るということで、Nikon D7000ではある程度の所で設定を決めていました(F22)。しかし、このETTLモードで撮ると、どんなに絞りを絞っても画像が暗くなるということはないのです。最初は、絞りの設定がキャンセルされているのではないかと疑いましたが、被写界深度には影響を与えているので、そんなこともないようです。
ISOをいじってみても、ETTLは常に明るさを一定に保とうとしてくれます。ISOを上げるとノイズが出てくるので、最小にしておくことが可能なら、それに越したことはないのではないでしょうか。
シャッタースピードも明るさに影響を与えますが、手ぶれや連射のことを考えるとシャッタースピードは速い方がいいでしょう。ETTLモードにすると、シャッタースピードは1/200が上限になるようです。あまり速すぎると、適量な光量の計算が間に合わないのかもしれません。
結果として、ETTLモードで撮影すれば、シャッタースピードを速くする(1/200)ことで手ぶれを防止し、絞りを限界まで絞る(F32)ことでピントを奥まで合わし、ISOを最小にする(ISO100)ことでノイズも最小限にするという設定で、かつ適切な明るさの画像が得られるということになりました。マニュアル撮影が染み付いている身としては、にわかに信じられず、どこかに落とし穴があるのではと疑っていますが、得られた画像は正直に綺麗でした。
2012年9月29日土曜日
素人には難しいカメラの世界 2
前回の記事では、口腔内写真の色調・明るさ・鮮明さを総合して『質』という表現を用いましたが、『仕上がり』という表現の方が正しいとご指摘をいただきました。日本語は難しいですね。違和感は感じつつも、正しい言葉で表現できないことが多々あり、語彙不足を感じます。
左の図は、デジタルカメラで撮影した被写体が、画像として出来上がる大まかな流れです。普段は緑矢印のコースのようにRAWデータをPhotoshopで現像しJPGにしていますが、もし赤矢印のコースで得られるJPGが無調整で使えるような仕上がりであれば、画像編集作業もずっと楽になるでしょう。果たして、カメラの中で現像されるJPGの仕上がりをこちら側が何かを弄る事で調整していくことができるのかチャレンジしてみることにしました。
上段左右2枚の画像は、Canon EOS kiss x3でRAW+FINE(JPG)で撮影したものです。前回の実験で、せっかく適した露出設定にしたにも関わらず、出てきたJPGは見る影もありません。一体、カメラの中で何が行われているのでしょうか?一方で、下段左右のNikon D7000で撮影したRAW+FINE(JPG)では、まずまずのJPG画像が得られています。『Canonは鮮やかな色』に、『Nikonは忠実な色』に現像される傾向にあるとどこかで読んだ記事と同様の実感を受けました。とにかく、右上のJPGでは使い物にならないことは確かです。
カメラの中の現像過程で何が行われているのかを調べていくと、Nikonではピクチャーコントロール、Canonではピクチャースタイルと呼ばれる設定項目があることに気づきました。参照画像はNikonのものですが、6つのピクチャーコントロールが用意されており、状況に合った設定を選ぶことができるようになっていました。デフォルトではスタンダードになっていましたが、要確認でしょう。まさかモノクロだと気づくでしょうが、何かの拍子にビビッドになんかなっていたら大変です。マニュアルで微調整もできるようですが、何百通りも試してみないといけなくなるため断念せざるを得ませんでした。ここはハマるところではないという危機感が働きました。Nikonで抑えておくべきことは、『ピクチャーコントロールはスタンダードにしておく』ということでした。
Canonのピクチャースタイルもほぼ同様で6つに分かれていましたが、全てがそのまま使えるJPGではありませんでした。つまり、このカメラに限っていえば、『PCでのRAW現像が必須』ということがわかりました。
左の図は、デジタルカメラで撮影した被写体が、画像として出来上がる大まかな流れです。普段は緑矢印のコースのようにRAWデータをPhotoshopで現像しJPGにしていますが、もし赤矢印のコースで得られるJPGが無調整で使えるような仕上がりであれば、画像編集作業もずっと楽になるでしょう。果たして、カメラの中で現像されるJPGの仕上がりをこちら側が何かを弄る事で調整していくことができるのかチャレンジしてみることにしました。
上段左右2枚の画像は、Canon EOS kiss x3でRAW+FINE(JPG)で撮影したものです。前回の実験で、せっかく適した露出設定にしたにも関わらず、出てきたJPGは見る影もありません。一体、カメラの中で何が行われているのでしょうか?一方で、下段左右のNikon D7000で撮影したRAW+FINE(JPG)では、まずまずのJPG画像が得られています。『Canonは鮮やかな色』に、『Nikonは忠実な色』に現像される傾向にあるとどこかで読んだ記事と同様の実感を受けました。とにかく、右上のJPGでは使い物にならないことは確かです。
カメラの中の現像過程で何が行われているのかを調べていくと、Nikonではピクチャーコントロール、Canonではピクチャースタイルと呼ばれる設定項目があることに気づきました。参照画像はNikonのものですが、6つのピクチャーコントロールが用意されており、状況に合った設定を選ぶことができるようになっていました。デフォルトではスタンダードになっていましたが、要確認でしょう。まさかモノクロだと気づくでしょうが、何かの拍子にビビッドになんかなっていたら大変です。マニュアルで微調整もできるようですが、何百通りも試してみないといけなくなるため断念せざるを得ませんでした。ここはハマるところではないという危機感が働きました。Nikonで抑えておくべきことは、『ピクチャーコントロールはスタンダードにしておく』ということでした。
Canonのピクチャースタイルもほぼ同様で6つに分かれていましたが、全てがそのまま使えるJPGではありませんでした。つまり、このカメラに限っていえば、『PCでのRAW現像が必須』ということがわかりました。
2012年9月14日金曜日
素人には難しいカメラの世界 1
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「結局カメラって何を買えばいいの?」という声はよく聞かれます。私は、大本営ブログで推薦されていたカメラセットをその通りに購入したのでNikon派ですが、意外とCanon機を持ってる者が多いのも事実です。綺麗に撮れればどちらでも良いのかもしれませんが、『質』の向上のためにはそれぞれの特性を理解しておく必要があると考え、私はカメラとレンズの違いが、『質』にどのような影響を与えるのかを調べることにしました。
まず行った実験は、Nikon D7000とCanon EOS kiss X3を用意し、両者とも同じ露出設定、同じストロボ、そして同一被写体を撮影しました。その結果は…
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第一実験のまとめになります。行きついた先は当たり前のことですが、『そのカメラに合った露出設定を見つけ出すことが重要』でした。素人二人が集まって、あーでもないこーでもないと言いながらやった実験なので、実験の方法は拙く信頼性には欠けますが、おそらく結論は間違っていないでしょう。「全然的外れ!」というご意見をいただいた場合は、追記があるかもしれませんので、あしからず。
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