山の中でも、状況は好転しません。神秘的な霧は決して嫌いではありませんが、ドライブには不向きで、カーブが連続する山道ではストレスを助長します。当然、気温も上がらず、花粉症とも風邪ともわからない咳をこれ以上拗らせては大変と、マスク着用となりました。顔を隠して、一眼レフを首からぶら下げて、立派な不審者の出来上がりです。
結局悪天候は一日中続き、カメラを濡らすのは嫌でしたし、職務質問も受けたくないのでほとんどカバンに仕舞いっぱなしでした。冷えた体を暖めたい一心で、早々と宿にチェックインしたところ、夜に太鼓が観れるところに連れてってくれるとのこと。しかも、雨天につき屋内開催。ようやく巡ってきたカメラ活躍のチャンスと考え、申し込むことにしました。
輪島の御陣乗太鼓。その由来は、上杉謙信に攻め入られた能登の村人が防衛の一心で、樹の皮で仮面を作り、海藻を頭髪とし、太鼓を打ち鳴らしながら上杉勢に夜襲をかけたところ、上杉勢は思いもよらぬ陣太鼓と奇怪きわまる怪物の夜襲に驚愕し、戦わずして退散した…というところから生まれた習わしだそうです。
図らずも、謙信と同じく越後の国からはるばる攻めてきた我々でしたが、その凄まじい迫力に退散するのではなく、息を飲んで見入ってしまいました。布団に入っても、リズミカルな太鼓の鼓動が頭の中でしばらく鳴り響いていました。
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