2015年4月13日月曜日

2015年もくあみ会3

 第二部『欠損歯列からみた犬歯』は、中間欠損と遊離端欠損に区分し、補綴設計を通じて支台歯としての活用法が論じられた。

 中間欠損は、可撤性補綴があらゆる点で最も威力を発揮する欠損形態だ。コーヌステレスコープは勿論のこと、クラスプデンチャーでも十分にリジッドにすることができる恵まれた条件だし、両端の支台歯の状態が良ければ、間に条件の悪い歯を取り込んでも経過対応しやすいのも大きなメリットで、患者さんにも受け入られやすい。そんな良いことづくめの流れに一石を投じる結果となったのが、上顎と下顎では顎骨のたわみの影響により経過が違うのでないかという発表だった。なるほどと思わせる推論で、固定式でも同様のことがいえる可能性があるため、臨床統計の一つとして調査しても良いのかもしれない。

 『遊離端欠損の補綴設計』では、下顎両側遊離端欠損に照準を絞って4ケースが繰り広げられた。企画段階から、このテーマを入れるのは危険と散々警鐘を鳴らされていたが、はっきりとその意味がわからないまま押し進めた結果、ここまで積み重ねてきた流れは霧散することになった。ここだけ切り取ってみれば面白いものだったと思うし、やはりそうするべきだったと後悔しているが、遊離端欠損という局面では、咬合力や受圧加圧といった欠損歯列が抱える問題が余りにも色濃く出てしまい、犬歯に焦点を絞るということが難しく、突然話題が変わったように感じられたと思う。 そんな中でも得られたことは、経過の中で生体の変化が大きいとされる遊離端欠損に咬合力の問題が加わったケースに対して、何もせずに追従していけるような支台装置というものは考えられないということ。犬歯に頼ることは当然必要ながらも、もっと大局的な目をもって過不足のないメインテナンスをしていくことが何より重要だということだった。

 自分なりに力を入れて取り組んだ全体会だったものの、蓋を開けてみると、会の進行はたどたどしく、その上時間は大幅に押してしまい、企画者として反省すべき点がこれほどまで明確になった年はなかった。素晴らしいケースを呈示していただいた演者の先生方や、多忙の中参加していただいた先生方、そして臨床基本ゼミ講師の先生方にはこの場を借りてお詫び申し上げます。